古川タク: 2008年12月アーカイブ

春風駘蕩フラフラ日記19

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元旦 本日は晴天なり

あけましておめでとうございます。

今年の年賀状です。


年賀状09.jpg



毎年、ごく私信に近いものをと市販の年賀はがきにコピー手彩色の形で、
500枚ほど出しています。去年暮れに出た「アートクリエーターの年賀状」
http://www.amazon.co.jp/アートクリエイターの年賀状-芸術新聞社/dp/487586
1672 という本の中にも書きましたが、その年の干支をフィーチュアしてい
るのですが、何回も巡っているうちに、例えば去年は鼠小僧次郎吉であったり、
今年は牛ではなくて闘牛士のエスカミリオであったりと、周辺部に広がりつつ
あります。せめて宛名とお名前くらいは筆ペンで手書きにてと努めているので
すが、これがなかなか年始めの苦行となっているのであります。

というわけで今年もどうぞよろしく。

春風駘蕩フラフラ日記18

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某月某日 本日は晴天なり

厚木と中野の東京工芸大学にて、
フランスの注目のアニメーションスタジオ
" フォリマージュ"から3監督を招いて、講
演会をやってもらった。新作劇場用長編か
らアラン・ギャニヨル+ジャンル・フィリ
チオリコンビの傑作短編まで、熱意のこも
ったプレゼンテーションであった。これか
らアニメーション界に飛び込む若者たちに、
こんなスタジオもあるのだというのを見て
欲しかった。
(左から二人目、パスカル・ルノートル監督、四
人目、アラン・ギャニョル監督、五人目、ジャン
ル・フィリチオリ監督)

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終了後、大学近くのタパスバーにて、講演を聴きに
きてくれた日本の若手アニメーション関係者たちと
交流、こういうのが楽しいしいちばん大事なのだ。

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厚木での講演会を終えて、ロマンスカーで新宿に戻り、西口の
広島焼きの店にい転がり込む。酒、お好み焼き、ともに好評。

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オフの一日、ボクが東京超スピードツアーを計画、二人を浅草
の羽子板市経由渋谷の雑踏ツアーに連れていった。

渋谷は、駅中岡本太郎→駅前スクランブル交差点→さくらや
→回転寿司→東急ハンズ→まんだらけ新館→書店LOGOS
→アップルストア→つたやのカフェ→5階建てゲーセンビル
→109の女の子たち→駅前スクランブル交差点という凄まじい
ツアー。企画したボクの方が特にまんだらけとゲーセンビルに
びっくりしました。ちょっとしたLOST IN TRANSLATION気分
で、改めて歩いてみると、街にアナウンスや電子音がこんなに
多いのは外国の都市といちばん違うところだなと思った。

二人とも、意外にけっこう面白がって、ふだんフランスで見て
いる日本のマンガの舞台がリアルな世界なんだなと感じたそう
です。「東京ゴッドファーザー」みたいだって。もともとBDを
志した二人だから日本のマンガは詳しくて、谷口ジローがフラ
ンスで大人気、だとか20世紀少年読み始めたとか、そんな話が
ボクには面白かった。






昨日2008年12月23日(火)から2009年2月22日(日)
まで。浅草テプコ館1F下町ギャラリーにて。

また例のフラフラ軍団(久里洋二、二階堂正宏、前
川しんすけ、山口マサル、古川タク等)が、今度は
浅草にやってきました。
初春に賑々しく"浅草マンガ"にござります。



ボクは「なんてったって雷門」というタイトルで5枚
描いています。


空から浅草

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やっぱりビール

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食の浅草

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浅草サンバカーニバル

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浅草メタボ







春風駘蕩フラフラ日記18

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某月某日

本日は雨天のち曇天なり


国際交流基金の派遣で、マニラとジャカルタにて
「古川タク回顧上映プログラム」と「日本のイン
デペンデント・アニメーションの歴史〜現状報告
プログラム」を
やってきました。




ジャカルタ篇







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第10回ジャカルタ国際映画祭の一プログラムとして
催された古川タク回顧上映、ジャカルタの会場は日本
文化センターで、ジャカルタのアニメーション協会の
メンバーの方々、アニメーション制作同好会の方々、
去年できたばかりの、既にデザインやCGの仕事をして
いるプロにトラディショナルなアニメーションを教え
る学校の先生たち、学生たち、大学の芸術系学部の学生
などが遠路はるばる集まってくれました。

遠路はるばるは、実はこの街の渋滞とスモッグの交通
事情が原因で、南北に走る幹線道路1本めがけて
周辺部の郊外からバイク、バス、タクシー、昔のミゼ
ットみたいな3輪オートバイタクシー、トラックが北
上してくるのだから大変。外回りの仕事の人などは1
日3カ所のアポイントメントがやっとという状態らし
い。

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通訳を買ってでてくれたのは、2006年まで東京に
居た
インドネシア人で今村昌平の映画学校卒のドキュメン
タリー映画作家です。ご自身も作家なので、質疑応答
の際にも適確な翻訳で気持ちを伝えてもらいました。

ジャカルタもデビュー作「牛頭」から最近の「Teddy」
「クリプリ*クリプラ」までたっぷり1作品ずつ解説
しながら上映した後、休憩をはさんで3人の会から始
まって2000年代のオムニバス短編からの抜粋、学
生作品に至る日本のインデペンデント・アニメーショ
ンの話をしました。




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翌日も熱心な関係者が遠路はるばる集まってきてくれ、
懇談会、熱心な質疑応答が続いた。
やはり、この国でもCGが隆盛で、アニメーションの基本を
何も学ばない人がいきなりPCで作るCGの気持ちの悪さを
ベテランアニメーターの方が盛んに訴えておられた。

とても才能があるイラストレーターの若者がいて、彼はこ
れからトラディショナルなアニメーションの技術を学んで
アニメーションを作りたいと意欲を見せた。
ここも、ごく一部の裕福なおぼっちゃま学生や業界のお洒落
なプロたち、アニメーション同好会の中からアニメーション
が盛り上がってきていて、彼ら、新世代が技術を習得して、
きっと2、3年後には面白いアニメーションがでてきそうで
とても楽しみだ。

マニラもジャカルタも一般社会生活の中でのネットのインフ
ラはまだまだだけど、こういうおぼっちゃま私立芸術系大学
ともなると、設備や環境は東京と同じとはいかないまでも、
相当いいとみた。

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13年前に来た時はジョグジャまで足を伸ばして、
影絵ワヤンクリを堪能した。今回は市内にある国
立博物館、ワヤン博物館など案内してもらった。
ここは、独立前のオランダいやもっと前のポルト
ガルの雰囲気が残る界隈。こんな看板に出会ったり、
200年も前の元総督公邸が、シックなカフェ・バ
タビヤとして現存していたりする。

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これがその店内。本物のコロニアルでっせ。


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ジャカルタの独立記念塔(モナス)の前。
案内してくださった国際交流基金の知性派美
人Yさんにせがんで、なんとボクのオバカ写真
シリーズ「あたまから、、」の一枚として、
「あたまから独立記念塔」を撮ってもらった。
ありがとごぜーますだ。

なお、「あたまから、、」シリーズはいずれ
折をみて、このサイトで少しずつ公開予定。
まったくバカバカしいですわな。



ホテルの部屋の窓に広がるジャカルタの街。
ここも目抜き通りは13年前とはがらっと変わった。
お洒落な複合ビルのレストランで飲んでると、
六本木ヒルズのフードコートで飲んでいるのとなんら
変わりない。
ビルのトイレを探して店の外に出て初めて、「あっ、そ
ーか、オレジャカルタにいるんだ。」

ホテルのエントランスには高速道路の料金所のような
ものものしい検問所があって、その先のホテルそのもの
のドアでも空港のセキュリティチェックのようにピーッが
ある。ここで初めて、この国の経験してきた過去の出来事
を否が応でも思い出してしまう。

未だ大変な国でもあることはここもフィリピンも変わら
ない。

日本の格差社会とは桁が違う。





春風駘蕩フラフラ日記17

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某月某日

本日は雨天のち曇天なり


国際交流基金の派遣で、マニラとジャカルタにて
「古川タク回顧上映プログラム」と「日本のイン
デペンデント・アニメーションの歴史〜現状報告
プログラム」を
やってきました。



マニラ篇

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第2回フィリピン・アニメーション・フェス
ティバルのプログラムの一環として催された
もので、
市内のデ・ラサール大学にて、主として主催者の
フィリッピン・アニメーション・カウンシル
(日本アニメーション協会みたいな組織)の方々
と、アニメーションや日本文化に興味を持つ一般
の方々、アニメーション、CG、グラフィックデザ
インまどを専攻している学生たちで、休憩をはさ
んでみっちり4時間のロングランに熱心に付き合っ
てくださった。ボクの隣で、当意即妙、エスプリ感
覚溢れる通訳をしてくれたYUMIさんは、東大でドク
ターコース卒のフィリピン留学生だった父親と才媛
の日本人の母親の間に生まれた才色兼備のスーパー
レディ。


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会場の大学は、スラムも目立つ周囲の風景を突き裂く
ような超モダンな建築物で、15年前の中国同様の
ブレードランナー感覚がいっぱい。
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今や世界中どこに行っても、日本のアニメにこども
時代に夢中になった世代が、社会の中心になって活
躍している時代で、ここもアニメやコスプレ大好き
、しかしインデペンデントなアニメーションについ
ては、これからだ。去年から始まったフェスティバ
ルのコンペからは、なかなかの傑作が受賞し始めて
いる。20代のややスノッビッシュな若者たちの間
でアニメーションが熱くなってきているのを
肌で感じた。

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ここでも確実に始まっている。'94年の広島国際アニメ
ーション映画祭でボクが「以心伝心」で受賞していたシ
ーンを見ていたというアーカイブ関係の方がこのフェス
ティバルの中心にいて、この年の広島で、フィリピンア
ニメーション特集をやった人だった。実は13年前にも
久里さんと二人でマニラを訪れたことがあって、ボクは
驚き盤ワークショップをやったのだが、その時お世話に
なった当時音楽留学生だったお嬢さんが、国立大学で日
本文化の講義をなさっていて、学生さんたちを引率して
見に来てくれたのが嬉しかった。

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13年ぶりのマニラは、目抜き通りはすっかり大都会に
変貌を遂げていた。ホテルの辺りはブランド街が続き、
ロデオドライブか、ここは!という感じ。しかしマカ
ティ地区から一歩出ると、バイクと満員御礼のジープ
ニーの海。これは変わっていない。でも既に9月から
始まったクリスマス気分がいっぱいで連夜のパーティ
の企画に気分は仕事もそっちのけの、マニラの人たち
の根っからの明るさがすごい。うらやましい。なにを
いまさら世界金融危機だ?知ったこっちゃないみたい
な。












イガノクロマル

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クロマル.jpg
       
    初出 「おおきなポケット」福音館書店

 昨年から年に一回思い出したように不定期連載で8
ページのマンガを描いている。
 忍者マンガなんだけど、近頃のナルトとかに比べて
なんとものんびり忍者です。ボクがコマ漫画を描くと、
どうしても自分が子供だった頃夢中で読んだ「おもし
ろブック」風マンガになってしまうなあ。

福音館書店の幼児むけ雑誌「おおきなポケット」、第
2回目は2009年2月号。1回目では修行中だったクロマ
ルが、いよいよお城に仕官するの巻である。この続き
は本誌で!

コマ漫画は単行本の相対性理論マンガ「トムキンスさ
ん」いらい。
 あれは描いていても難しかったな。

 おおポケでは、以前にも「リトルTの冒険」という連
載マンガを描いていた時期があるんだけど、大学生の女
の子にこどもの頃読んでましたー!と言われて、月日の
たつのも速いものだ状態でした。