某月某日
本日は雨天のち曇天なり
国際交流基金の派遣で、マニラとジャカルタにて
「古川タク回顧上映プログラム」と「日本のイン
デペンデント・アニメーションの歴史〜現状報告
プログラム」を
やってきました。
ジャカルタ篇
第10回ジャカルタ国際映画祭の一プログラムとして
催された古川タク回顧上映、ジャカルタの会場は日本
文化センターで、ジャカルタのアニメーション協会の
メンバーの方々、アニメーション制作同好会の方々、
去年できたばかりの、既にデザインやCGの仕事をして
いるプロにトラディショナルなアニメーションを教え
る学校の先生たち、学生たち、大学の芸術系学部の学生
などが遠路はるばる集まってくれました。
遠路はるばるは、実はこの街の渋滞とスモッグの交通
事情が原因で、南北に走る幹線道路1本めがけて
周辺部の郊外からバイク、バス、タクシー、昔のミゼ
ットみたいな3輪オートバイタクシー、トラックが北
上してくるのだから大変。外回りの仕事の人などは1
日3カ所のアポイントメントがやっとという状態らし
い。
通訳を買ってでてくれたのは、2006年まで東京に
居た
インドネシア人で今村昌平の映画学校卒のドキュメン
タリー映画作家です。ご自身も作家なので、質疑応答
の際にも適確な翻訳で気持ちを伝えてもらいました。
ジャカルタもデビュー作「牛頭」から最近の「Teddy」
「クリプリ*クリプラ」までたっぷり1作品ずつ解説
しながら上映した後、休憩をはさんで3人の会から始
まって2000年代のオムニバス短編からの抜粋、学
生作品に至る日本のインデペンデント・アニメーショ
ンの話をしました。
翌日も熱心な関係者が遠路はるばる集まってきてくれ、
懇談会、熱心な質疑応答が続いた。
やはり、この国でもCGが隆盛で、アニメーションの基本を
何も学ばない人がいきなりPCで作るCGの気持ちの悪さを
ベテランアニメーターの方が盛んに訴えておられた。
とても才能があるイラストレーターの若者がいて、彼はこ
れからトラディショナルなアニメーションの技術を学んで
アニメーションを作りたいと意欲を見せた。
ここも、ごく一部の裕福なおぼっちゃま学生や業界のお洒落
なプロたち、アニメーション同好会の中からアニメーション
が盛り上がってきていて、彼ら、新世代が技術を習得して、
きっと2、3年後には面白いアニメーションがでてきそうで
とても楽しみだ。
マニラもジャカルタも一般社会生活の中でのネットのインフ
ラはまだまだだけど、こういうおぼっちゃま私立芸術系大学
ともなると、設備や環境は東京と同じとはいかないまでも、
相当いいとみた。
13年前に来た時はジョグジャまで足を伸ばして、
影絵ワヤンクリを堪能した。今回は市内にある国
立博物館、ワヤン博物館など案内してもらった。
ここは、独立前のオランダいやもっと前のポルト
ガルの雰囲気が残る界隈。こんな看板に出会ったり、
200年も前の元総督公邸が、シックなカフェ・バ
タビヤとして現存していたりする。
これがその店内。本物のコロニアルでっせ。
ジャカルタの独立記念塔(モナス)の前。
案内してくださった国際交流基金の知性派美
人Yさんにせがんで、なんとボクのオバカ写真
シリーズ「あたまから、、」の一枚として、
「あたまから独立記念塔」を撮ってもらった。
ありがとごぜーますだ。
なお、「あたまから、、」シリーズはいずれ
折をみて、このサイトで少しずつ公開予定。
まったくバカバカしいですわな。
ホテルの部屋の窓に広がるジャカルタの街。
ここも目抜き通りは13年前とはがらっと変わった。
お洒落な複合ビルのレストランで飲んでると、
六本木ヒルズのフードコートで飲んでいるのとなんら
変わりない。
ビルのトイレを探して店の外に出て初めて、「あっ、そ
ーか、オレジャカルタにいるんだ。」
ホテルのエントランスには高速道路の料金所のような
ものものしい検問所があって、その先のホテルそのもの
のドアでも空港のセキュリティチェックのようにピーッが
ある。ここで初めて、この国の経験してきた過去の出来事
を否が応でも思い出してしまう。
未だ大変な国でもあることはここもフィリピンも変わら
ない。
日本の格差社会とは桁が違う。