animation: 2009年5月アーカイブ

春風駘蕩フラフラ日記33

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某月某日

本日は晴天なり


鼻物語.jpg





 最近話題のメディア芸術センター構想ですが、なんだかマンガ好

きな総理の一声で、オタクの殿堂が生まれるみたいなニュースばか

りが面白おかしく取り沙汰されていて、ちょっと違うと思うのです





 

 確かに今回の補正予算がきっかけにはなったものの映画、アニ

メーション、漫画、メディアアートのセンターができて、ミュージ

アム、アーカイブ、人材育成の場ができることに異論はありません




 建物が出来た後このセンターに何ができるのかに尽きると思います



 個人的には建物なんてそれこそ廃校になった小学校でもなんでもカ

ッコよく再生させれば、いいものが出来ると思うし、その方が時代に

合ってるし、このソフトパワーが叫ばれる時代に、やはり、ハコより

は内容にお金をかけてほしい。


 お台場なんかよりもっと都心のど真ん中、アート小僧たちが目を爛

々と輝かせて集まってくるメッカにしなくちゃ。

 そこに来ると今日、世界のメディア芸術に何が起きてるのかを感じ

られるような場所だね。

 メディア芸術祭の常設展示はもちろん、熱い思いをもった有能な学

芸員たちの企画による、上映会、展覧会、ワークショップ,研究活動等

が毎日行われていて研究資料も充実している。



 次世代の作家を目指す人たちの梁山泊というかトキワ荘というか、

交流の場でもあり、そこに国内や海外からのアーティスト イン レ

ジデンスの作家やそれを取り巻く観光客の姿もみられるという構図な

らまだ分かる。最初から外国からの観光客相手の施設をその入館料を

あてにしながら作ろうというのは?だ。だから、まんが喫茶なんて言

われるのだ。





 人材育成でしょうね、大事なのは。勿論この世界の先駆者たちへの

敬意は必要でしょうが、それに終始する殿堂に終わったら、笑い者に

されますね。たぶん。いつまで良き時代の日本のアニメに酔ってるの

かって。

 アニメーションの世界にしても刻々変化していて、長編、短編を問

わず世界中で、それも、わりと少人数の制作による話題作品が続々生

まれてきている時代です。なにもいわゆるアートアニメーションのこ

とじゃなくて、いや、そんな垣根はもともと無くて、面白い企画を、

傑作を、世界中で目を皿のようにして探してる。

 フランスやドイツは国、州、単位で積極的にサポートしている。ア

ジアでは韓国、中国で国が旗を振っている割には上手くいってるとは

思わない。




 確かに個人で管理できなくなった漫画の原画やセル画を保管するこ

とは大事だけれども、だからといってこのセンターがすべてを収集す

る必要はない。

 どこにいけば何があるかが分かればいい。

 これこそ民間で既に活動が始まっている京都マンガミュージアムや

明治大学のコレクションやアニメーションの制作会社やアニドウのコ

レクションや杉並のミュージアムやICCと首尾よく連携して企画展など

をやっていけばいい。そして個人なり制作会社なりが管理できなくなっ

た資料についてのみ、センターが預かればいい。


 何もかも一堂に!は特にこの世界ではありえない。戦後の何も無い時

代から熱い思いを抱き続けてきたコレクターたちに失礼だ。


 そんな金があったらもっと他に使って欲しい。



 それと大学でアニメーションをやってきて大学院にいって、さてその

後、全員がTVアニメの制作現場志望なわけではない。社会人と学生を行っ

たり来たりという欧米のシステムもない。今日、漫画描いてて、明日ア

ニメーション作りたくなって、明後日、メディアアートやる人だってい

る。言えることは,今メディア芸術周辺になかなか面白い若い才能が集

まってきているということです。


 何かインスティテュートのような役割も果たしてくれる施設にならな

いものか。これは少し主旨から離れるか?


 ことアニメーションに限って言うと、面白そうな短編企画にもし1本3

00万円の助成金を年間10本出すとする。たった年間3000万円の予算で

、どれだけ新しい作家や監督を育てられるか。


 自分で行った所、人にきいて興味を持った所を参考施設として記しま

す。


 ドイツ     ZKM, 

 フランス    フォーラム ド イマージュ、  CIBDI,

 オーストリア  アルスエレクトロニカ

 韓国      ソウル アニメーションセンター


 

トップの絵は一馬力で作り始めていて、まだなかなか完成

しそうにもない新作短編アニメーション「鼻物語」の1シーンです。